古舘@横浜 さんの日記
暑い日が続きますね。外での作業は暑いのと蚊のダブルパンチで過酷ですが、その点、小型スピーカーは室内でも出来る作業が多いので助かります。
今年のSTEREO誌7月号の付属には5cmの可愛いユニットが付録として付いていますが、口径が5cmの割りには最低共振周波数が118Hzと低いものの、ただ単に箱に入れただけでは十分な低音は望めない。密閉では低域は全く伸ばせないし、バスレフだと若干最低共振周波数よりも低い所までに再生は可能だが、余り低くし過ぎると中抜けで低音のレベルが低い帯域が生ずる恐れがある。ある程度低域レベルを確保するにはバックロード系か共鳴管などの共振を利用したものなどの工夫が必要になります。
ただ、ユニットが小さいのに箱だけ巨大にするのは如何にもバランスが悪いし小さなユニットの意味がないので(大きな箱には大きなユニットを付ければ良い)、それ程大きくなくてもそこそこの低音を確保出来、構造もシンプルで誰にでも作り易いTQWT(Tapered Quarter Wave Tube)方式にした。これは共鳴管の一種で、共鳴管の全長を再生する最低周波数の波長の1/4に合わせて、且つ先細りの形状にしてスペースを削減出来る。
と言っても、数10Hz以下を再生するには管の全長は1.5m位は必要になる。通常はこれを折り曲げて1/2の長さにしてトールボーイタイプにするのだが、コンパクト化する為に音道を更に折り畳んで1/4にする構造にした。これにより内寸長さを40cm程度にすることが出来る。
それでもこの長さは5cmとしては長いが、実際には安定性やバランスを考えて奥行き方向に長くすることにより、正面のバッフルを小さくし点音源化し指向性を良くして定位の改善も図れます。
構造図
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仮箱でそれなりの特性は出たので本番用の構造図を作って、それに沿って板のカットをした。
板は一般的な12mmのラワン合板を使用した。音道はCW型(Constant Width)なので両サイドの側板以外は全て同じ幅である。仮箱は幅が1インチ用で100mmだったが、若干大きくして120mmとしたのでバッフル、裏板、天板、底板、仕切板3枚は全て96mm幅になる。
構造自体はバックロードホーンなどでも同様だが、この幅の精度が悪いとエア漏れなどを起こし、思った通りの結果にならない。
よってこれらの板の裁断は工具などのセッティングはそのままで一気に行った方が良い。時間を置くとセッティングが変わったり、光の当たり方で微妙にズレたりしがちだ。
カットした12mmのラワン合板。(これ以外は殆どが部屋の中の作業)
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また奥行も仮箱は400mmだったので、音道の長さは150cmに満たない程度だったと思われるが、今回は450mmとして音道を160cmは確保した。これで1/4波長は60Hzとなり、そこら辺までは再生出来る計算になる。最終的には幅が120mm高さは220mm、奥行が450mmのサイズとした。
ユニット取り付け穴は仮箱で確認した54mmのホールソーで穴開け、67mmのホールソーでフレーム前面部分を埋め込み、バッフルと面一になるようにした。
ユニット取り付け
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また、裏板に取り付ける端子板は去年の発表会で参加賞として戴いた丸い端子板を使用した。
これの寸法を採寸すると穴開けは約50mmで2インチのホールソーが使える。また最外形は75mmで3インチのホールソーがピッタリなのでこちらも埋め込んで面一になるようにした。
端子板取付け
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仕切り板は同じ幅で切断したはずなのだが、貼り合わせの段階でズレが出たので(匠なら有り得ないことだが)、手鉋で修正したが、外は暑いので多少の埃は我慢してエアコンの効いた部屋の中で行ったが、それでも少し動くと汗が止まらなくなった。
鉋による最後の微調整
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やっと音出し出来る段階になったが、サイズを大きくした効果は余り見られず、若干100Hz付近のレベルは上がったようだが、仮箱と比較し60Hz程度まで期待した低域の伸びは変わらず残念。
ユニット正面50cmでのf特
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匠部門での出品になるが、このまま塗装するだけでは味気ないので、さてどうするか?!
着々と進んでいますね!私は暑さでやる気がでなくて高校野球テレビ観戦 モード中です
たてちゅうさん
やっと音出しまで漕ぎ着けましたが、期待した低域がイマイチで若干意気消沈気味です。
これから肝心の塗装が残っていますが、臭いは我慢して室内でやろうと思いますが、その前のサンディングは流石に室内では出来ませんので、夕方の少しは暑さが和らいだ風のある時にでもやるつもりです