試聴にはボーカル曲、ピアノ曲、アコーディオン曲を用いて、それぞれのユニットに対する塩ビ管部品の最適な組み合わせを探索しました。その最終結果が画像1に示したものになります。
ホーンの長さや拡がり方を種々変更して、それぞれのユニットにつき20~30パターンの組み合わせを試聴して、そのユニットに対するベストの部品構成を求めました。このとき、一聴して「これは良くない」という組み合わせもあれば、どちらが良いのか判断にとても迷う組み合わせもありました。
4種類のユニットでは、同じSPK AUDIOの製品でもセンターキャップのあるFR02Cは同径のフェイズプラグ版のFR02Aに比べて駆動力が強いため、音の大きさやキレに勝っており、同じホーン長でもホーンをより早めに拡げる結果になりました。
一方CLF060C2は、他の3機種に比べてパワーが段違いに強力で、特に高音域のエネルギーが強いので、さらに早めに拡げる必要があるかと思いきや、むしろあまり拡げずにホーン開口付近で一気に拡げた方が良好なバランスになることがとても意外でした。
また、OMP-600は低域のアタックはまずまずでしたが、中高音のキレが他の3機種に比べて今一つでした。
最終的には、ユニットからの音とホーンからの音のどちらかが主張することなくうまく協調して、低音から高音まで音のスピード感に統一性を持たせてくれるFR02Aを選択することにしました。
コンテストでは試聴による音質だけでなく、作品のコンセプトやデザインも評価されます。また、周波数特性やインピーダンス特性など、種々の音響特性も計測されました。
グランプリ以外に4つの部門賞がありますが、そのうちの1つとしてマリオ賞をいただきました。
受賞にあたっては、選考委員の方から以下のコメントをいただきました。
・サイズが大きくなりがちなBHをどうにか卓上サイズまで縮め、
3パーツ組み合わせて100サイズに収めた。
・塩ビ管の響きを抑えてホーンの特徴を出した。
・ホーンの拡がりはよく計算されているようで高音から低音まで
目立ったピーク、ディップもなく鳴らしている。
・塩ビ管の見た目の面白さは慣れればなくなるので、音質だけで存在感を示すよう、
これからも「配管工」としての技術を磨き続けてほしい。