- インピーダンス
- 測定方法
- 測定準備
- ARTAのインストール
- 測定
- 結果の保存
- 測定結果をSpeakerWorkshopで表示する
- 参考
インピーダンス [2]
スピーカー[3]の特性評価におけるインピーダンスとは、一言でいえば交流の抵抗値と言って良いのかと思います。
インピーダンス測定には様々な方法があり、一般的にはスピーカー[3]で音を出しながら行いますが、アンプを接続して行う方法では 接続を間違えるとサウンドカードのマイク入力を破損しかねない危険性が伴います。(PCソフトのMyspeakerを使うのもこの方法)
ここでは、アンプを繋げずに Windows PCのサウンドカードからの出力を利用する簡易方式で、ソフトはARTA同梱のLIMPを使います。 簡易方式は測定結果に少し誤差が含まれるようなのですが、まずは測定してみることが重要ですので、この場ではこの方法での紹介とします。
- ミニプラグ2本(うち1本はステレオミニプラグ必須)
- 100Ωセメント抵抗 1本
- バナナプラグ対応スピーカー[3]端子など適宜
- 配線材、適当量
ケーブルの作り方 [9]
- LIMPマニュアルのFig.3.1 に、ヘッドホン出力をつかった測定に必要なケーブルの接続図が載っていますので、これに従って接続ケーブルを作ります。
サウンドデバイス出力を100Ωセメント抵抗を介してスピーカー[3]に接続し、抵抗手前からダイレクトにマイクRch入力に。 抵抗のスピーカー[3]側からマイクLchに入力します。 グランド表示の部分は、夫々を結んでしまえばOKです。
- 実際に作ったケーブルの例。(手持ちにあったものを流用したので、配線太さがまちまちですが)
イヤホン出力プラグ側はモノラルでもOKですが、マイク入力プラグはステレオミニプラグが必要です。
- ステレオミニプラグの結線は、プラグ先端から順に 「Lch / Rch / GND(-)」です。
- モノラルミニプラグの結線は、プラグ先端から順に 「SIG(+) / GND(-)」です。イヤホンジャックに差す側もステレオミニプラグを使っても大抵は大丈夫です。
ARTAのインストール [12]
- サウンド入出力のあるWindows PC 1台が必要です(Windows XP / Vista / Windows 7 / Windows 8)。 MACやLinux上には残念ながらインストールできませんが、Windowsエミュレータ上で動作させることは可能とのことです。(実用的かどうかの話はわかりません。。)
- ダウンロード:このページ[13]から、「ARTAxxx.exe」(xxxはバージョン)をダウンロードします。
同じページに、ARTA、LIMPのマニュアルもあるので、それらもダウンロードしておきます。(英語です)
- ダウンロードしたインストールファイルを使って、PCに普通にインストールします。
- スター[14]トメニューの「スター[14]ト - Arta Software - Limp 」を選択して開きます。
- ライセンスを聞かれるので、今回はとりあえずデモモードで開始します。 シェアウエアなので全機能を継続して使いたい場合は、購入して登録も可能です。
- Setup / Audio Devices
製作したケーブルをイヤホン出力ジャック/マイク入力ジャックに差して、LIMPのメニューのSetup / Audio Devices で表示するウインドウ上で、使用するサウンドデバイスを選択します。
- Setup / Generator
スピーカー[3]を接続し、LIMPのメニューのSetup / Generator で表示するウインドウ上で、「Test」を押すと、マイク入力レベルが表示されます。 出力レベル十分に高くしておくと、測定精度も高くなるそうです。
なお、この図のようにL側のレベルが高い場合は、L/Rが逆に接続されている可能性があります。 (その場合は、次の項目「Refference channel」を変更します。)
- Setup / Measurement
LIMPのメニューのSetup / Measurementで表示するウインドウ上で、Measurement config 内で 「Refference channel」の「Left / Right」 を正しく選択します。 どちらか迷う場合は、ひとまず測定してみておかしければ逆にしてみる、という手順で大丈夫。 平均化などは必要に応じて試してみるとよいでしょう。
- 測定
- LIMPのメニューの Record / Start か、アイコンの「Start Rec」を選択すると、測定を開始します。
- 測定結果は、例えば下図のように出ます。グラフ縦軸スケールなどは、必要に応じて調整します。
残念ながら、LIMPのデモモードでは結果の保存ができません。 但し、「.ZMA」形式でのエクスポートが可能です。
- LIMPのメニューのFile / Export As で、「Plain .ZMA」形式データでエクスポートします。
エクスポートしたデータは、テキストファイルなので、EXCELで開いてグラフ化することも可能です。
測定結果をSpeakerWorkshopで表示する [20]
ここからは中級レベルの入門になりますが、測定結果をSpeakerWorkshopで表示してみましょう。測定結果データの重ね合わせや、シミュレーションなどは Speaker Workshop へインポートして行うとフレキシブルに活用できます。
- ダウンロードはこちらから[21]。
- インストール後にソフトを起動し、左側のプロジェクトペインで右クリックし、「Import」を選択して、LIMPで生成した「.ZMA」データをインポートします。
- 2つのデータを重ね合わせたい時は、夫々のZMAデータをImportした上で
- 左側のプロジェクトペインで右クリックし、「New」~「Chart」 を選択して、チャートウインドウを作ります。
- そのチャートを開いた状態で、右クリックし、「Add」で開くウインドウで、「.ZMA」データを追加してゆきます。 これで重ね合わせてゆくことが可能。
スター[14]-Solのインピーダンス測定結果グラフが以下です。 裸のFE103-Sol、裸のツイーターXT25SC50-4 、スター[14]-SolのLch/Rch の合計4つのデータ(インピーダンスと位相)を重ね合わせています。 スケールやグラフのプロパティなどは適宜調整します。普通、インピーダンスグラフは縦軸に対数スケールを使いますので、グラフのプロパティの「Y Axis」タブの「Scale」の「Logarthmic」にチェックを入れればOKです。
- 更にARTAで音圧特性を測定し、SpeakerWorkshopにインポートして、インピーダンス・位相特性と合わせて利用することで、クロスオーバーネットワークの詳細なシミュレーションを行うことが可能になります。 いずれ別ページにて紹介したいと思います。