かず
異径大曲バックロード
いけいおおまがりばっくろーど
27 x 20 x 48
正面

ホーン

ScanSpeak

5F/8422T03

自己評価
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画像1

 オメガの会主催の第4回スピーカーコンテスト(2025年11月2日開催)に参加するために製作したバックロードホーンスピーカーです。
 ここ数年、塩ビ管を利用してバックロードホーンを楽しんでいます。塩ビ管だと木材に比べて断面形状や曲がり方に関して合理的なホーンを構成しやすいですし、組立てや調整が簡単に行えるからです。本作のポイントはホーンの開口に異径大曲エルボーという継手部品を採用したことです。

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 コンテストのレギュレーションの1つが「STEREO誌またはOntomo Mookの付録ユニットを使用すること」ですので、ScanSpeak 5F/8422T03を用いることにしました。レギュレーションユニットでは最小で、必ずしもバックロードに適したユニットではありませんが、これと兄弟ユニットの5F/8422T01を用いたバックロードが市販されています。自作の箱でT01とT03を比較試聴したところ、音のクオリティはT01が圧倒するものの、キレや元気の良さはT03に分があるように感じたので、このユニットでもそこそこ鳴ってくれるのではないかと思ったからです。

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 ホーンの径はこれまでは異形エルボーやインクリーザーという継手部品を用いて拡げていましたが、その断面積変化は必ずしも滑らかではありません。特に大空間と接続するホーン開口部での形状のぎこちなさがずっと気になっていました。
 そんな折、異径大曲エルボーという断面積が滑らかに変化する特殊なエルボーがあることに気が付きました。「ホーン開口部に使ってください。」と言わんばかりの形状です。画像3はφ50からφ75への拡張を種々の継手部品で実現したものですが、左の異径大曲エルボーが最も自然な拡がり方をしていることが一目瞭然です。

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 片ch分の外装部品は11個です。(後述のジョイントを含めると19個になります。)
 具体的には、空気室はφ75-40の異形エルボーに3Dプリンターで製作したバッフルを接着しました。スロートはφ40、長さ200mmのVU管を用い、これに続くホーンは比較試聴による試行錯誤の結果、φ40の45˚エルボー ⇒φ40エルボー×4 ⇒φ40-50異形エルボー ⇒φ50エルボー×2 ⇒φ50-75異形大曲エルボーとしました。スロート以降をエルボー部品のみで構成することで、全体がコンパクトなサイズに収まりました。ホーンの全長は120cm弱です。
 そして、これらの接続には短くカットした塩ビパイプをジョイントとして用いました。ボンドを使わなくても、しっかりと固定できます。

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 吸音材には水槽用ろ過フィルタを用いました。空気室には少量を円筒側面に沿わせ、ホーン部には細長く切ったものを音道に沿うように挿入しました。

 塩ビ管を用いたバックロードでは、ホーン開口部の形状が音質に大きく影響するように感じています。今回は異径大曲エルボーという部品ありきで製作を進めたのですが、それが音質的にマイナス要因になっては本末転倒です。
 そこで、画像3に示した4種類の開口部を、その上流の構成変更も含めて比較試聴してみたところ、音のエネルギー感、散乱具合、輪郭、管共鳴などの癖の無さなど、いずれの点においても異径大曲エルボーが好ましい結果を提示してくれました。一安心するとともに、形状が音に反映されていることを強く感じました。異径大曲エルボーは「使える」パーツだと思いました。
 コンテストでは試聴による音質だけでなく、作品のデザインや作者のプレゼンテーションによるアピール度も評価されます。また、周波数特性やインピーダンス特性など、種々の音響特性も計測されました。詳細はオメガの会のホームページをご覧ください。
(tatuiti.in.coocan.jp)