共鳴管ということで、単純に管の片方にユニット、もう片方を解放とした4分の1波長共鳴管を前提にします。
基本的な計算式では、管長をL・管の半径をrとおくと、共にcm単位で、
8500/(L+0.82r)
となります。厳密な計算では気温により8500ではなくなりますが、気にするほどではないでしょう。(8500=340*4ですので、気温14℃くらいの目安)
本来の式は、
{(331.5+セ氏*0.6)/(L+0.82r)}*4
とするべきです。
したがって、VU65の内径を半径3.5cmと仮定すると、
8500/(200+2.87)=41.898...
となりますので、約42Hzの基本派と、これの3倍高調派である126Hzに共振ピークができます。5倍の210Hzも聴感上影響がある程度のピークができるはずです。1/3派の14Hzにもピークが出ますが、こちらは無視できるでしょう。
一方、共鳴管は音響迷路としても動作しますので、2Lに相当する波長にピークができ、Lの波長でディップになります(Lで逆相・2Lで同相)。したがって、85Hzが約3dB上昇、170Hzで3dBのディップという感じになるでしょう。(計算方法の基本は上記と同じ。)
したがって、周波数特性は、
14Hz∩ 42.5Hz∪ 82Hz∪ 85Hz∩ 126Hz∩ 170Hz∪ 210Hz∩
という感じになると思います。80?90Hzは共鳴管としてのディップと迷路としてのピークがほぼ重なるため、小さめのピークになると思われます。ただし、聴感上「筒臭い」感じは消えないと思います。(共鳴管としてのピークの方が鋭いため。)
共鳴管は特定の周波数を狙い打ちでで強調したり減衰させるのに向きますが、密閉のようになだらかな減衰曲線は作れません。また、バスレフより位相の回転が複雑で、いわゆる「筒臭い」音になりがちです。有名なBOSEの"CANON"でも、ユニットを筒の中央付近に取り付け、左右の管の長さを変えることで共振のピークをずらし、なだらかな特性を得ているようです(想像)。サブウーファーとして設計するのであれば、これに倣ってピーク・ディップが巧く重なるようにし、総合的な特性としてフラットを目指す必要があると思います。
なお、管の直径が70mm弱と細いため、かなりQの低い特性になると思います。つまり、ピークディップの上下に広い範囲でも共振が起き、はっきり言ってしまえばグチャグチャの特性になりそうです。
>m_sagamiさん
ヘルプして頂きありがとうございます。
たくさんのコメント大変助かります。m(__)m
blogでは初登場にもかかわらず、突然大量の(偉そうな)コメントで失礼しました('-' ;
VU管ですが、やはりダンプしたものとしていないものでは全く音が違いますので、剛性はかなり低いと思います。ただ、ダンプと言っても、ブチルや何やで押さえ込んでしまうのではなく、共振の腹にあたる部分を局所的に止めてやれば、かなりクリアな音になるようです。
これは塩ビに限らず木製エンクロージャーでもいえることで、音量を上げられない市販の安物スピーカーでも、急所を突いてやれば格段に伸びが良くなることがあります。
そういう意味では、単にVP管を使うだけでなく、ケースバイケースでポイントを探り当てる"勘どころ"も必要かな、と思う今日この頃です。
20050217付けで管理人さんに質問UPしてもらいました、Mです。その後たくさんのしかも正確なアドバイスいただき、大変感謝しています。同時にこういうブログを用意して頂いている管理人さんに感謝感謝です。
ところでsagamiさんへ質問です。共振fはわかりましたがそこのfでの音圧はその前後のレベルに比してどのくらい上昇するのかが最終的に必要ですよね。そこにはコメントにもありましたように、”腹”の部分にダンプ材いれるとか、途中にエルボいれるとかいろいろありそうですが、なにもなかったらどんなもんでしょうか?尚SP取り付け部分には工夫をして160mmSPを2本使用する予定です(共鳴管は65VU)ここのつなぎは流路の急激な変化をさけなければならないので苦労しそうです。又F特フラットの件ですが、”まずは40?50Hzでの音圧を出す”のが先決でフラット化は次段階での課題と考えていますが甘いですか? 宜しくお願いします。。以上
お早うございます。
まず管の材質についてですが....
ヘタレな管楽器奏者の立場でいえば、やはり最終的に音質を左右するのは材質です。例えば真鍮でもアルミでも、それこそ塩ビパイプでもフルートは作れますが、総銀製に勝るものではありません。MDFでバイオリンやギターも作れますが、音が良いとは思えません。その意味で、振動するべき箇所は良い響きのもの、するべきでない箇所はしっかりと剛性をもたせるか、制振(整振?)して不要な音を出さないようにするべきだと思います。
現在、新作のチューニング中ですが、管部分に5mm幅でホットボンドをつけるだけで、驚くほど音が変わってしまいます。もちろん、ケースバイケースではあると思いますが....
次にMさんのご質問に関して。
共鳴管の共振のピークは、管の太さに依存します。これはバスレフのポートや、もっといえば管楽器全般と同じ理屈です。チューバでもトランペットの音域の音は出せますが、痩せてキツい印象の音になります。
太い管を使うほどピークが鋭くなり、ピンポイントで共振します。細いとピークは潰れますが、前後の周波数にも影響し、ボワボワした音になりがちのようです。私も実験の準備段階で、はっきりとはいえないのですが、管の断面積はだいたい振動板面積のx1?x3くらいが目安だと思っています。(長岡氏の文献にも出ています。)
逆に、音道の断面積を振動板面積より小さくするとロードがかかり、本来の動作からは外れます。末広がりにすればホーン、末すぼみにすればTLS(トランスミッションライン:PMCが有名・Nautilusチューブも?)となります。ロクハン(6.5inch=16cm)2本といえば20cm級、VU65の断面積を38cm^2とすると、バックロードのスロートより絞ることになります。1本でも振動板面積130cm^2に対して僅かに30%の音道面積ですから、かなり無理があるように思います。
どのくらいのピーク/ディップになるかですが、正直なところ、作ってみないと分からないというのが現状だと思います。
私も今ひとつ理解が足りないのですが、要するに共鳴管というのは、その共振する周波数でのみ振動板に(かなり大きな)負荷がかかり、それ以外では後面解放(あるいは無限大バッフル)と同様に動作する装置です。したがって、その負荷(インピーダンス)の大きさ・鋭さによって、音圧の上がり方(大きさ・鋭さ)が決まります。
つまるところ、その公式があれば話が早いのですが、私はまだ見つけていません。(不勉強で申し訳ありません。)
ともあれ、共鳴管インピーダンスを計測したサイトの測定例によれば、基本派のピークはユニットのfoに近い山を作っているようですから、この周波数ではユニットはfoと同じ動きをしているのではないとか思います。(したがって耐入力が下がるはずです。)
また、繰り返しになりますが、共鳴管ではfo以下の特定の周波数で(強烈な)ピークができ、そこを外れると音は全くと言っていいほど聴こえません。特に波長2Lの音は180度の逆相ですから、原理上は完全に打ち消されます。(実際には位相の複雑な回転でそうならないと思いますが。)
したがって、パラメトリックイコライザなどで特定の周波数を強烈なQで持ち上げるのと同じように、自然な再生音とはほど遠いものになるような気がします。
私の共鳴管はお蔵入りしてしまいましたが、そのような事情があるためでもあります。ただの「筒」では自然な音にしにくいと思ったからです。管にテーパーをつけたTQWTなら可能性はありそうですが、これはまだ試作していません。
塩ビパイプを気柱共鳴で利用するなら、吸音材の充填でダンプしたTLS的なものか、BOSE"CANON"的にピーク/ディップを埋め合わせるタイプが良いのではないでしょうか。
不勉強の身で偉そうに書いてしまいましたが、ご参考にして頂ければ幸いです。
MCBTです
sagamiさんにお礼です。
大変丁寧なご教示本当にありがとうございました。
よく理解できました。m(__)m 御説を参考に現案を練り直します。 PS1 管楽器と聴いて昔のことがムラムラと・・・ 実は私もチューバを皮切りにフルート、B♭クラ、Aサックス、ギター・・・と楽器遍歴者でして、説明文は"実感"をもって理解できました。 又宜しくお願いします。 それにしてもこのように、各方面の専門家のご意見を短期間に、それも無償でいただけるなんて、このブログを用意して下さった管理者の方に、重ねて御礼申し上げます。 m(__)m PS2,現在、車内でのF特を耳で簡易チェックする為の信号CDを作成してまして、 来月くらいにはもう少し具体的な話ができるかも知れません。
又ご報告します。 以上
引用:MCBTさん
調子に乗って偉そうにお話して申し訳ありません。私の方でもいろいろ実験しようとは思っていますが、いかんせん、メインの方に不満がたくさんあってそちらの買い換えも考えているために、測定機材(特に更正済マイク)の調達ができずにいる次第です。
ただ、共鳴管方式のSWは件の"CANON"がありますので、上手くすれば格安で類似品が作れる可能性はあると思います。これまで一部のメーカー以外には使われてこなかった方式だけに、秘められた可能性があるかもしれませんね。;-)
私は楽器もオーディオも素人に毛が生えたくらいの「頭でっかち」さんですので、話半分程度にお読みください。(^^;
引用:管理人さん
いつもお世話になっています。調子に乗って大量のコメントで失礼しました。
>m_sagamiさん
とんでもございません。大変助かりました。m(__)m
こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。
新作UPはもう少々お待ち下さいませ。
共鳴管って音クセといいますか出過ぎる音(ピーク)があるのが難点ですが
メリットとしては背圧のないダイナミックレンジの広さやないでしょうか?
これはこれで捨てがたい。長岡さんも最後のレファレンスは共鳴管だったの
ですが、やはり他の方式のスピーカと組み合わせて使うものでは
ないかと思うきょうこのごろです。さすればピーク・ディップの差は
トータルでさほどでも無くなると。
PS:私塩ビ管でフルート作ってます。内径20mmの管と先端はもう一段細いのを
つないでいます。不思議なことにモダンフルートとほぼ同じ指使いで
吹けます。半音もだせます、ただし音程はビロビロです、指穴位置が
いい加減ですから(^^; 音はやはり「塩ビ管の音」です。アウロスの
プラスチックのトラベルソに近い音色ですね(^^;
テスト(このあとコメント書き込んでもらってOKです)
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