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古舘@横浜 さんの日記

 
2010
10月 1
(金)
05:15
STEREO誌コンテストを振り返って
本文

幸運にもコンテストで名誉有る1位を頂いた訳だが、どうして1位になったのか?
実際に作った本人も余り良く分からないが私なりに考察してみた。

見た目に関しては明らかに仕上げの素晴らしい物が何作品も有ったし、デザインも誰が見ても私の作品より優れている物は有った。
構造にしてもTQWT方式は一般に知られている方式で特に変わった所は無く、アイデアという点でも特筆すべきところは無い。
ユニットはみんな同じなので、キットという事も有り組立てで多少の差は出る事は有るだろうが、それ程差が出る事は無いように思う。
片チャンネル2個使った作品は他に無かったようだったが、これが良かったのか?
審査員の石田義之先生からユニットの特性を全て引き出したというお褒めのコメントを頂いたが、音が一番の決め手となったのだろうか?

今までTQWT方式のスピーカーは過去に何台か作ったが、ある程度ユニットとの相性は有るが、極端なバックロード専用のユニットとかではなければ、割合どんなユニットでもそれ程気にせず使える様に思う。
木で作ったエンクロージャーでは吸音材はそんなに使わなくてもそれ程共鳴音、共振音は感じなかった。
ただ、塩ビ管でQWT方式のスピーカーを作った時には残響音がなかなか消えず、吸音材を多くすると残響音は軽減するが、同時に低音も出なくなり諦めた事が有る。
これはTQWTとQWTの差によるものなのか、エンクロージャーの材質の差によるものなのかはっきりしないが、どちらにしろ、低音を犠牲にする事無く、いかに残響音を消せるかが肝になる。

今回のTQWTは勿論木製だが、作るに当って剛性には拘った。

エンクロージャーには僅か6.5cm口径のユニットにはオーバースペックといえる厚さの材料を使った。
バッフル、裏板、天板には24mm厚のMDFを、側板には21mm厚のラワン合板を、内部の仕切り板には15mm厚のラワン合板を使用した。
更に仕切り板はそのまま側板に接着するのではなく、側板にルーターで幅15mm、深さ3mmの溝を掘ってそこに仕切り板を埋めみ接着することにより、エア漏れを防ぐと同時に剛性を高めた。
これらによりかなりパワーを入れても箱のどこを触っても振動は余り感じない様になった。

今、改めて考えると仕切り板が一番剛性が低いような気もするが、縦に補強材を貼り付ければ良かったかも知れない。(逆に仕切り板が適度に振動して良い方向に働いている可能性が無い訳ではないが…)

ただ、面積が小さいから大丈夫だろうとユニットを取り付けるサブバッフルには12mmのラワン合板を使用したが、考えが甘かったようで触るとかなりの振動を感じた。

そこでユニットの左右とユニット間に12mmの合板の切れっ端をH型に接着しで補強をした。
これでかなり振動は軽減されたが、まだ完全ではないもののこれで妥協した。
ユニット後ろの空気の抜けが良くなるように座ぐりを入れていたが、補強により大分塞がり、その部分では空気の抜けという点では効果は薄くなっている。

更にユニットのマグネットに1枚20gの鉛の板を2枚ずつ貼り付けた。
それ程重くは無いので効果は不明だが、ユニットが小さいのでこれでも効果は有るのかも!?

他には内部の空気の流れを考えてスムーズに流れるように直角の角は極力無くしている。
角には角材を対角線でカットした三角形の板材を貼り付けスムーズに流れるようにしている。
また仕切り板は切りっ放しでは無く、角をサンダーで丸みを持たせて風切り音などの発生を防いでいる。
開放端にはスタンドが位置するが、ここも材料をテーパー状に削って空気の流れをスムーズにしている。

これらが功を奏したのか、実際に鳴らしてみて吸音材を入れなくても殆ど共鳴音、共振音のような物は私の耳では感じなかった。
ただ、大きな音が出ている時に急に音を止めると余韻が残る事があった。
そこで閉塞端に熱帯魚のろ過フィルターの吸音材を12cm×12cm(厚みはフリ?で2.5cm)にカットして入れることにより大分改善した。未だ僅かに感じたので開放端のスタンド部分に12cm×36cmのろ過フィルターを丸めて入れることにより、殆ど分からない程度になった。
吸音材が少なくて済んだことにより低音が出難くなるのを防げた。

エージングは書類を提出してからは毎日かなりのパワーを入れて長時間鳴らしていた。
作った直後にf特を取った時には60Hz辺りまでは出ていたが、それ以下は全く出ていなかったのだが、郵送する前に最終の音出しの際に随分低音が出ている気がして試しにf特を取り直してみたら、50Hz辺りもかなりの実用レベルで出るようになっていた。
改めてエージングの重要性を感じた。

もう一つ有利に働いた点として考えられるのはユニットを2個使って並列接続にしたことである。
並列にするとインピーダンスが半分の4Ωになるが、アンプのボリュームが同じ位置だとアンプは定電圧駆動なのでパワー的には理論的には2倍入ることになる。更に2個使いなので音圧は2倍になる。
実際にはそこまで行かないにしても、原理的には4倍の音圧という事になる。
一般的には音量を上げた方が低音も出ているように感じるし良い音に聴こえる場合が多い。

他に考えられる点としてはユニットは2組組んだが、ケチった訳ではないが接着剤は1個しか使っていない。それも未だ余っている。
最小限の接着剤だったので振動板の重さは軽くなっているかもしれないが、振動部分に関係する部分はボビンと振動板を接着する部分とキャップを接着する部分位なので多分関係ないですね。

実は1個だけユニット組立てを失敗してボイスコイルの取り出し方向を間違えて+/?が逆になってしまい、外部の配線で入れ替えてあります。
これは間違っても良い方向にはならない筈です。

後は評価した時の部屋とか使用したソースとの相性が良かったとか、審査員の方々の音の好みに近い音だったとかが考えられます。

個々の対策は耳で聴いて直ぐに分かるほどのものでは無いが総合的に良い方向に向かっていたのかも知れません。

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コメント一覧

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たてちゅう  投稿日時 2010/10/1 7:53

試聴ソフトどのソフトもバランス良く鳴っていたので
その結果だと思います。会場との相性も良かったのでしょうね!

古舘@横浜  投稿日時 2010/10/1 20:23

まさか、審査はあの部屋ではしてないと思いますが、みなさん、あの状態で音の良し悪しが良く分かりますね。

私はジュニア部門のピンクとブルーのお家のスピーカーが一番良く聴こえました [worried]

たてちゅう  投稿日時 2010/10/2 7:49

審査会場という意味でした。
言葉足らずですみません。

確かにあの家の形のスピーカー良い音してましたよね!

古舘@横浜  投稿日時 2010/10/2 14:26

そうですよね、揚げ足取りみたいになってこちらこそ申し訳ない m(__)m

会場がライブで低音が出易かったので更に良く聴こえたのでしょうね。

たてちゅう  投稿日時 2010/10/2 17:43

いえいえとんでもございませんです。m(__)m

欲を言えばノミネート作品1つずつ聴きたかったですよね。
でもあの数の多さでは仕方ないですね。

とにかく1位おめでとうございます(^o^)/

KO球  投稿日時 2010/10/2 18:22

審査部屋やソフトとの相性は大きいと思いますが、古館さんの作品は、ユニットの能力の限界を超えず、許容範囲ぎりぎりまでのチューニングがうまくいっていたと思います。

ただし、このさじ加減は、自室の測定やチューニングだけでは難しいですよね。流石だと思います。

あの可愛らしい家のSPは、あの場所では本当に良く鳴っていましたね。個人的に一番興味があります。

古舘@横浜  投稿日時 2010/10/2 18:34

確かに比較の為にも落ち着いた雰囲気の中で色々な作品の音を聴きたかったです。

でも、35、6作品も集まるとあの方法しか無かったのだと思います。

審査員の先生の作品の試聴の時間を…
とも思いますが、FOSTEXが最大のスポンサーなので仕方ないですね ^^;

オフ会でkenbeさんやゆったり人さんの作品を聞くのが楽しみです。

ゆったり人さんの作品は私の所に送って貰って私が会場に持って行きます。

kenbeさんの作品は一人で持つのが大変な位重かったので運ぶのも大変ですね。
最も奥さんを口説いて出て来る方がもっと大変なのかも知れませんが :-D

M-TK   投稿日時 2010/10/8 16:30

ところで、審査のときの試聴ソフトってどんな曲だったんでしょうか?

古舘@横浜  投稿日時 2010/10/8 23:00

審査は事前に密室で(笑)行われていたので、どんなものを使ったかは全く分かりません。



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